# 吸入時の濃度と LFL / UFL

## 吸入応用における安全濃度

水素ガスを吸入応用する際の安全濃度は、化学便覧の古典的な値ではなく、**実際の吸入環境で測定された実証値** を参照する必要があります。

### 古典的 LFL 4% の適用範囲

化学工学では水素の **爆発下限濃度 (LFL: Lower Flammability Limit) を約 4%** とする値が広く流通しています。この値は **閉じた予混合系で静止条件における測定** に基づいており、たとえばパイプライン内の混合気体や閉鎖容器における爆発判定に用いられます。

### 吸入環境での実証値 10%

しかし吸入器の運転環境は、常圧・開放系・連続希釈・気流が存在する**動的な開放系**です。古典的 LFL の前提条件が成り立たず、実証的に測定すると **約 10% が安全運転上の上限** とされます。複数の実験的・事例的根拠から、吸入応用にあたっては 10% を上限とする運用が妥当です。

### UFL 75% パラドックス

理論上、水素の **爆発上限濃度 (UFL: Upper Flammability Limit) は約 75%** とされ、これを超えると酸化剤（酸素）不足で燃焼しないと考えられがちです。100% 純水素出力の機器が安全と主張される根拠もここにあります。

しかし実際には:

1. **境界面の濃度勾配**: 100% 出力でも、出口から大気側にかけて連続的な濃度勾配が形成され、必ず 4–75% の爆発範囲を通過する層が存在します。
2. **吸入経路での動的混合**: 鼻腔・気道・肺における呼気との混合により、局所的に爆発範囲の組成が一時的に形成されます。
3. **着火源の遍在**: 気流の静電気や粘膜摩擦などが微弱な着火源となり得ます。
4. **UFL の測定条件**: 75% という値は閉鎖系・予混合・静止気体の理論値であり、動的開放系には直接適用できません。

したがって、**100% 純水素出力＝安全** とする論理は成立しません。

### 推奨運用

- 吸入応用における水素濃度は **10% 以下** を運用上の上限とする
- 66% / 100% などの高濃度出力機器は事故事例が報告されており推奨できない（→ [事故事例](/safety-notes/accident-cases)）
- 上記の論拠は安全性主要論文 4 本に裏付けられる（→ [主要論文系譜](/safety-notes/lineage)）

---

> **Cite as**: H2 Papers — https://h2-papers.org/safety-notes/inhalation-concentration
