水素ガス吸入による多菌性敗血症マウスモデルへの保護効果:酸化ストレスおよびHMGB1放出の抑制を介したメカニズム
Protective effects of hydrogen gas on murine polymicrobial sepsis via reducing oxidative stress and HMGB1 release.
要約
敗血症は集中治療室における主要な死因の一つであり、活性酸素種の過剰産生がその病態に深く関与する。本研究では、盲腸結紮穿刺(CLP)モデルマウスを用い、CLP後1時間および6時間から開始した2%水素ガス吸入が、中等度・重症CLP群ともに生存率を濃度・時間依存的に有意に改善することが示された。さらに、肺ミエロペルオキシダーゼ活性、湿乾重量比、気管支肺胞洗浄液中タンパク濃度、血清生化学指標、臓器組織学的スコアなどの多臓器障害指標が水素吸入により有意に軽減された。加えて、酸化産物の減少、抗酸化酵素活性の上昇、血清および組織中のHMGB1レベルの低下が確認された。
メカニズム
水素ガスが選択的にヒドロキシルラジカルを消去することで酸化ストレスを軽減し、抗酸化酵素活性を高めるとともに炎症メディエーターHMGB1の放出を抑制することで多臓器障害を防ぐと考えられる。
書誌情報
- 著者
- Xie K, Yu Y, Pei Y, Hou L, Chen SL, Xiong L ほか
- ジャーナル
- Shock
- 発行年
- 2010
- PMID
- 19997046
- DOI
- 10.1097/SHK.0b013e3181cdc4ae
タグ
投与経路に関する解説
水素は空気中で **約 4%(LFL・爆発下限)から約 75%(UFL・爆発上限)** までが燃焼可能な濃度範囲とされています。高濃度水素吸入器のうち 66% 出力はこの範囲内にあり、100% 純水素出力でも装置と外気の境界面で必ず 4–75% の濃度勾配層が生じます(UFL 75% パラドックス)。設計原則上は LFL 未満(古典値 4% 以下)が想定されますが、これは閉鎖系・予混合・静止条件での値であり、開放系・動的条件である吸入環境では実証値として **10%** が文献で報告されており、実務上はこちらを上限の目安とします。66% / 100% 出力機については消費者庁事故情報データバンクに事故事例が記録されており、これらの観点から推奨されません。
安全性注意
詳しくは: